特殊塗装はどうやって学ぶ?第10回「特殊塗装」すご技職人養成塾を見学しました

2026年10月16日(金)・17日(土)の2日間、京都府八幡市にある株式会社ARACO様の作業場で、特殊塗装(デコラティブペイント)の講習会『第10回「特殊塗装」すご技職人養成塾』が開催されました。
講師は業界レジェンドでもある、株式会社ARACO 代表取締役会長の荒木俊成氏で、今回は14名の方が受講されました。
受講者は、一般塗装や住宅専門の塗装、ゼネコン関連の現場を手がける方をはじめ、工場塗装や塗装見本の制作に携わる方まで、さまざまでした。

当店の調色師も受講生として参加し、塗装技術を学びました。あわせて、当店代表と私を含むスタッフ2名が、1日目(16日)の講習を見学させていただきました。
今回は、講習会の様子を詳しくレポートします。記事の最後では、次回の開催予定についてもお知らせしますので、ぜひ最後までご覧ください。
特殊塗装(デコラティブペイント)は、2〜3色の塗料で木目や石を描く技術
特殊塗装の中でもデコラティブペイントとは、木目や大理石、岩肌などの質感や、サビ・カスレといった経年変化を、塗料を使ってリアルに表現する塗装技術のことです。木目調塗装やエイジング塗装も、この仲間に入ります。

たとえば「防火や内装制限で本物の木材は使えないけれど、木のぬくもりを感じる空間にしたい」という現場でも、壁や天井に木目を描けば、木を張ったような雰囲気をつくれます。
テーマパークや商業施設、店舗の内装などで使われていて、需要が高まっている一方、技術を持つ職人はまだ少ないのが現状です。そこで、荒木氏が後進の育成を目的に、半年に1回開いているのが、この「特殊塗装」すご技職人養成塾です。

講習会場の中には、木目や大理石、サビ、岩肌などの塗装見本がずらりと並んでいます。どれも塗料で描いたとは思えないほどリアルで、見ているだけでも特殊塗装の表現の幅を感じることができました。
作業場の外にも、岩肌のような造形(ロックワーク)の作品が置かれていて、講習が始まる前から目を奪われました。

1日目は雲・木目・サビ鉄板・大理石を描き分けました
講習は、まず荒木氏が技法を解説しながらお手本を見せ、そのあと受講者が自分の手で同じ技法を練習する、という流れで進みます。

少人数制なので、うまくいかないところはその場で質問でき、荒木氏が一人ひとりの手元を見ながらアドバイスしてくださいます。

1日目に学んだのは、主に次のような技法です。
- 雲:塗料のスケ(透け)やカスレをあえてつくりながら、雲を描く
- 木目:木目ぐし(木目を描く専用の道具)で杉を、刷毛でチークの木目を描く
- サビ鉄板:スポンジで塗料をたたくように付けて、サビた鉄板の質感を出す
- 白大理石:大理石の模様や筋を描く
最初の雲の練習では、青い板に白い塗料で雲を描いていきます。ムラなく均一に塗る普段の塗装とは反対に、あえてスケやカスレを残しながら塗り進めていくので、同じ塗料と刷毛でも、使い方がまったく違うことが分かります。

木目の練習では、ベースを塗った板の上に木目の色を重ね、乾く前に道具を動かして模様をつけていきます。木目ぐしや特殊な刷毛を使って塗料を動かすと、年輪のような模様が浮かび上がってきます。


こうした模様を描くときに欠かせないのが、塗料の乾燥を遅らせる「グレイズ」です。水性塗料にグレイズを混ぜると、塗料が少し透けて、乾くまでの時間も長くなります。そのため、塗ったあとに刷毛や道具で塗料を動かして、模様を描く時間がつくれます。
この講習会では、当店のデコラティブペイントのための乾燥遅延剤「グレイズ」をご使用いただいています。グレイズの混ぜ具合は描く模様や色によって変わるため、荒木氏が長年の現場経験をもとにした使い方を教えてくださるのも、この講習ならではだと思います。


どの技法も、使う塗料は2〜3色ほど。それでも、色の重ね方と道具の動かし方しだいで、本物と見間違えるような質感になっていきます。
受講者の皆さまが、お手本を見たあとすぐに自分の板で試し、手を動かしながらコツをつかんでいく様子が印象に残りました。
1日目の最後には、2日目に行うロックワーク(岩肌の表現)に向けて、板に樹脂モルタルを塗って下地をつくり、終了となりました。2日目は、この下地に色を重ねて、本物の岩のような質感に仕上げていきます。


新商品「ウッドエフェクトペイント」をご紹介しました
木目の講習では、少しお時間をいただいて、当店の新商品「ウッドエフェクトペイント」をご紹介しました。受講者の皆さまが仕上がり見本を手に取ってご覧いただき、ご好評いただきました。

ウッドエフェクトペイントは、壁や天井、建具などを木目調に塗装するための水性塗料のセットです。ベース色とライン色の2色に、木目を描く道具(フロッガーブラシとウッドグレイニングツール)を組み合わせて、平らな面に木目を描けます。

色はナチュラルパイン、レッドマホガニー、ダークウォルナット、スモークチーク、ホワイトアッシュ、インディゴオークの6色です。
講習で学んだ木目の描き方を、まずは手軽に現場で試してみたい方にも使いやすい商品です。(商品詳細はこちら)
「マイクロセメント モルクラフト」にも関心をいただきました
あわせて、当店の「マイクロセメント モルクラフト」のチラシもお配りしたところ、興味を持ってくださる方が多く、施工方法などについて質問もいただきました。

モルクラフトは、薄塗りで仕上げられる樹脂入りの左官材「マイクロセメント」で、キッチンカウンターや洗面台などの水回りにも使えます。特殊な専門工具がなくても、一枚岩のような重厚感のある仕上がりを表現できるのが特長です。(商品詳細はこちら)
受講者の中には、実際にモルクラフトを施工してくださった方もいらっしゃり、その施工事例を共有していただきました。

このように、塗料や施工のお話をしたり、受講者の皆さまの施工事例をうかがったりと、新しい技術を学ぼうという意欲のある方々と交流し、つながりを持てるのも、この講習会の良いところだと感じました。私たちにとっても、たくさんの刺激をいただいた1日でした。
また、当店「調色屋」のサイトについても、「知らなかった、便利そう!」と言ってくださる方がいらっしゃいました。これからも、より多くの方に当店を知っていただけるよう努めていきたいと思います。
まとめ|特殊塗装は、見て、手を動かして学ぶのがいちばんの近道
特殊塗装は、写真や動画で見るだけでは、塗料の量や道具の動かし方まではなかなか分かりません。今回見学して、荒木氏のお手本を目の前で見て、すぐに自分で手を動かせる講習だからこそ、短い時間で技法が身についていくのだと感じました。
この講習会は毎回好評で、今回も受講者14名全員が講座の内容に「満足」または「ほぼ満足」と回答しており、「塗るだけではない塗装、とても勉強になりました」という声もいただいています。
木目調塗装やエイジング塗装などのデコラティブペイントを仕事に取り入れたい方にとって、貴重な学びの場だと思います。
講習会の雰囲気が気になった方は、当店代表のInstagramに投稿したリール動画もぜひご覧ください。2日間の講習の様子を短くまとめています。
次回の開催について
次回の「特殊塗装」すご技職人養成塾は、2027年4月頃の開催を予定しています(基礎コース・1日間の予定です)。開催日が決まりましたら、調色屋のメルマガでもお知らせします。
調色屋のメルマガでは、塗料に関するお役立ち情報をお届けいたします。あなたのお仕事やDIYにぜひともお役立てください。

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