関西ペイントの遮熱塗料「アレスクール」の遮熱性能はどれくらい良い?

日本の暑い夏を快適に過ごすために、屋根や外壁の遮熱塗料への関心が高まっています。今回は、その中でも関西ペイントの「アレスクール」シリーズをご紹介します。他の遮熱塗料と比べた時の特徴は何か?具体的にどれほどの効果があるのか?気になるスペックを、様々なメーカー商品を取り扱う塗料販売店が検証してみました。
「アレスクール」とは
そもそも遮熱塗料とは、特殊な顔料を配合することで太陽光の熱エネルギーを効率的に反射して、建物内部の室温上昇を防げる機能性の高い塗料です。高日射反射率塗料とも呼ばれます。そんな遮熱塗料の中でも有名な「アレスクール」とは、大阪の大手塗料メーカーである関西ペイント株式会社が製造・販売している屋根用の遮熱塗料です。
関西ペイントでは「アレスクール」以外にも「Zウォール」等の遮熱塗料を販売していますが、「アレスクール」はとりわけ屋根に特化した製品として広く知られています。
なお、屋根は太陽光だけでなく、雨風や雪など厳しい自然環境に常にさらされるため、特に高い耐久性が求められます。そのため、「アレスクール」は様々なニーズに対応できるよう、フッ素、シリコン、ウレタンといった耐久性の高い樹脂タイプを、油性・水性の両方で幅広く取り揃えています。
▼アレスクールシリーズのラインナップ一覧(2025年9月現在)
| 商品名 | 樹脂タイプ | 水性・油性 |
|---|---|---|
| アレスクール2液F | 2液フッ素 | 油性(弱溶剤型) |
| アレスクール2液Si | 2液アクリルシリコン | 油性(弱溶剤型) |
| アレスクール1液Si | 1液アクリルシリコン | 油性(弱溶剤型) |
| アレスクール2液U | 2液ポリウレタン | 油性(弱溶剤型) |
| アレスクール水性F | 1液フッ素 | 水性 |
| アレスクール水性Si | 1液アクリルシリコン | 水性 |
樹脂タイプによって塗装できる素材は異なりますが、主にトタン屋根、鋼板屋根、スレート屋根、新生瓦等への塗装できます。工場や倉庫、一般住宅の屋根だけでなく、体育館や文化施設等の屋根にもおすすめのようです。
アレスクールの特徴
「アレスクール」は、「アレスクールシーラー」や「アレスクールメタルプライマー」といった専用の下塗り塗料が存在します。そして、下塗り塗料の中にも太陽光の熱エネルギーを反射させる特殊顔料を配合しているそうです。
そのため、上塗り塗料で遮熱しきれなかった熱も、下塗り塗料でさらに反射する仕様となっています。このWブロック効果が、「アレスクール」の強みです。
アレスクールの遮熱効果は?
公式サイトによると、遮熱効果のある上塗り塗料と下塗り塗料のWブロック効果で、最大マイナス20℃の遮熱効果があるんだとか。同じくサイトに掲載されていた塗り比べ実験では、一般の屋根用塗料とアレスクールの表面温度の違いは、約14℃になったそうです。
ただし、塗装した屋根材の種類や状態、実験の仕方によって結果は異なります。また実際のところ、屋根の表面だけでなく、屋根裏側への熱の侵入を防げているのかという点が気になりました。そこで、「アレスクール」塗装面の裏側の温度を計測する実験を行ってみました。
実験内容
- 約108cm×127cmを市販カラー鋼板を2枚用意
- そのうちの1枚にアレスクールを塗装
- 室温を23.5℃に保ち、100V90Wの発熱ランプでそれぞれの板に熱を加える
- 10分後の板裏側の温度を計測

実験に使ったカラー鋼板はこちら。温度計を固定する位置がずれないように、裏面には目印をつけています。

実験の様子です。ランプで加熱している板の裏側の温度を計測しています。
10分間熱した後、板裏側の温度の違いはこのようになりました。
| (1) 無塗装の カラー鋼板の裏面温度 | (2) アレスクールを塗装した カラー鋼板の裏面温度 | (1)と(2) の温度差 |
|---|---|---|
| 91.3℃ | 80.9℃ | 10.4℃ |
「アレスクール」を塗装しただけで、板裏側の温度はなんと10.4℃も低くなりました。塗装表面だけでなく、裏側への熱の伝導もしっかり抑制してくれる効果の高い遮熱塗料であることが分かりました。
アレスクールとその他遮熱塗料との比較実験
さらに、当店で取り扱っている中で最も温度抑制効果の高い「リフレクトサーモ」という商品とも比較してみました。条件を揃えて行った実験の様子と結果以下のとおりです。
| 経過時間 | 無塗装鋼板 | アレスクール | リフレクトサーモ |
|---|---|---|---|
| スタート時 | 26.5℃ | 27.3℃ | 25.8℃ |
| 1分後 | 58.9℃ | 51.6℃ | 40.4℃ |
| 2分後 | 74.5℃ | 63.9℃ | 50.4℃ |
| 3分後 | 87.4℃ | 71℃ | 56.4℃ |
| 4分後 | 85.5℃ | 75.2℃ | 60.5℃ |
| 5分後 | 87.7℃ | 77.5℃ | 62.6℃ |
| 6分後 | 88.5℃ | 78.8℃ | 64℃ |
| 7分後 | 89.4℃ | 79.3℃ | 64.6℃ |
| 8分後 | 90℃ | 79.4℃ | 64.8℃ |
| 9分後 | 90.4℃ | 79.9℃ | 65.6℃ |
| 10分後 | 91.3℃ | 80.9℃ | 66.8℃ |

実験の結果、「リフレクトサーモ」を塗装した板の裏側は、「アレスクール」と比較して約14℃低いという結果になりました。これは、「リフレクトサーモ」が遮熱性能と断熱性能の両方を併せもつ上塗り塗料であるため、その性能差が出たと考えられます。そのため、短い納期で高い遮熱性能を求める場合は、「リフレクトサーモ」がおすすめです。
ただし、「リフレクトサーモ」は凹凸のあるつや消し仕上げのため、汚れが目立ちやすいという欠点があります。一方、「アレスクール」はつや有りの薄膜仕上げなので、砂埃などの汚れがつきにくいという点で優れています。
関西ペイントの「アレスクール」について、もっと詳しく知りたい、購入を検討しているという方は、当店のお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡くださいませ。塗料の知識豊富なスタッフが丁寧にご案内いたします。
遮熱断熱塗料「リフレクトサーモ」に関しては、当店のサイトページでお取り扱いがありますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
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